試験科目について
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知『保育士試験の実施について(平成15年12月1日、平成24年3月30日一部改正)』によって、保育士試験の出題範囲は明確に規定されています。
保育原理の出題範囲
一口で言うと保育所保育について学ぶ科目です。
試験では、保育士として「保育」というものをどう捉えるか、また保育所の歴史や保育に関する法制度、保育の計画の立案や保育所での保育内容について出題されます。
特に保育内容については保育所保育の指導指針である「保育所保育指針」の内容をしっかり理解し頭に入れておくことが必要です。
出題の基本方針
出題範囲
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- 保育の意義
- (1)保育の理念と概念
- (2)児童の最善の利益を考慮した保育
- (3)保護者との協働
- (4)保育の社会的意義
- (5)保育所保育と家庭的保育
- (6)保育所保育指針の制度的位置づけ
- 保育所保育指針における保育の基本
- (1)養護と教育の一体性
- (2)環境を通して行う保育
- (3)発達過程に応じた保育
- (4)保護者との緊密な連携
- (5)倫理観に裏付けられた保育士の専門性
- 保育の目標と方法
- (1)現在を最もよく生き、望ましい未来をつくりだす力の基礎を培う
- (2)生活と遊びを通して総合的に行う保育
- (3)保育における個と集団への配慮
- (4)計画・実践・記録・評価の連動
- 保育の思想と歴史的変遷
- (1)諸外国の保育の思想と歴史
- (2)日本の保育の思想と歴史
- 保育の現状と課題
- (1)諸外国の保育の現状と課題
- (2)日本の保育の現状と課題
- 保育の意義
出題上の留意事項
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- 保育所保育指針の内容と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
- 保育士の役割や倫理、専門性等について理解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 保育相談支援の内容等について理解しているかという点についても出題し、その場合には保育相談支援の意義と原則について具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 教育原理、児童家庭福祉、社会福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
教育原理の出題範囲
出題の基本方針
教育に関する基本的概念、教育における実践原理を体系的に理解しているかを問うことを基本とする。問題選択に当たっては、教育の思想や制度について、また、児童福祉等との関連性や教育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 教育の意義、目的及び児童福祉等との関連性
- (1)教育の意義
- (2)教育の目的
- (3)教育と児童福祉の関連性
- (4)人間形成と家庭・地域・社会等との関連性
- 教育の思想と歴史的変遷
- (1)諸外国の教育思想と歴史
- (2)日本の教育思想と歴史
- (3)児童観と教育観の変遷
- 教育の制度
- (1)教育制度の基礎
- (2)教育法規・教育行政の基礎
- (3)諸外国の教育制度
- 教育の実践
- (1)教育実践の基礎理論―内容、方法、計画と評価―
- (2)教育実践の多様な取り組み
- 生涯学習社会における教育の現状と課題
- (1)生涯学習社会と教育
- (2)現代の教育課題
- 教育の意義、目的及び児童福祉等との関連性
出題上の留意事項
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- 教育と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
- 保育原理、児童家庭福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
社会的養護の出題範囲
出題の基本方針
現代社会における社会的養護の意義と役割について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。問題選択に当たっては、社会的養護の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、児童及び社会的養護をとりまく状況や家庭的養護、施設養護の援助の実際について、また、保育との関連性や社会的養護を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
- (1)社会的養護の理念と概念
- (2)社会的養護の歴史的変遷
- 社会的養護と児童家庭福祉
- (1)児童家庭福祉の一分野としての社会的養護
- (2)児童の権利擁護と社会的養護
- 社会的養護の制度と実施体系
- (1)社会的養護の制度と法体系
- (2)社会的養護の仕組みと実施体系
- (3)家庭的養護と施設養護
- (4)社会的養護の専門職・実施者
- 施設養護の実際
- (1)施設養護の基本原理
- (2)施設養護の実際-日常生活支援、治療的支援、自己実現・自立支援等-
- (3)施設養護とソーシャルワーク
- 社会的養護の現状と課題
- (1)施設等の運営管理
- (2)倫理の確立
- (3)被措置児童等の虐待防止
- (4)社会的養護と地域福祉
- 現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
出題上の留意事項
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- 社会福祉の法律や手続き、歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 保育原理、児童家庭福祉、社会福祉の出題と十分関連をとって出題する。
子ども家庭福祉の出題範囲
出題の基本方針
現代社会における子ども家庭福祉の意義と役割について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。問題選択に当たっては、子ども家庭福祉の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、児童及び家庭をとりまく状況や子ども家庭福祉の実際について、また、保育との関連性や子ども家庭福祉を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 現代社会における子ども家庭福祉の意義と歴史的変遷
- (1)子ども家庭福祉の理念と概念
- (2)子ども家庭福祉の歴史的変遷
- (3)現代社会と子ども家庭福祉
- 子どもの人権擁護
- (1)子どもの人権擁護の歴史的変遷
- (2)児童の権利に関する条約
- (3子どもの人権擁護と現代社会における課題
- 子ども家庭福祉の制度と実施体系
- (1)子ども家庭福祉の制度と法体系
- (2)子ども家庭福祉の実施体系
- (3)児童福祉施設
- (4)子ども家庭福祉の専門職
- 子ども家庭福祉の現状と課題
- (1)少子化と地域子育て支援
- (2)母子保健と子どもの健全育成
- (3)多様な保育ニーズへの対応
- (4)子ども虐待・DV(ドメスティックバイオレンス)とその防止
- (5)社会的養護
- (6)障害のある子どもへの対応
- (7)少年非行等への対応
- (8)貧困家庭、外国籍の子どもとその家庭への対応
- 子ども家庭福祉の動向と展望
- (1)次世代育成支援と子ども家庭福祉の推進
- (2)地域における連携・協働とネットワーク
- (3)諸外国の動向
- 現代社会における子ども家庭福祉の意義と歴史的変遷
出題上の留意事項
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- 児童の人権擁護や子ども家庭福祉に係る今日的課題等について理解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 子ども家庭福祉の歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 保育原理、社会福祉、社会的養護の出題及び保育相談支援の内容と十分関連をとって出題する。
社会福祉の出題範囲
出題の基本方針
社会福祉全般に関して、その理念体系を理解しているかを問うことを基本とする。問題選択に当たっては、社会福祉の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、その背景となっている社会の動向、社会保障等の関連制度の概要、利用者の保護にかかわる仕組みや相談援助等について、また、子ども家庭福祉との関連性や社会福祉を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
- (1)社会福祉の理念と概念
- (2)社会福祉の歴史的変遷
- 社会福祉と児童家庭福祉
- (1)社会福祉の一分野としての児童家庭福祉
- (2)児童の人権擁護と社会福祉
- (3)家庭支援と社会福祉
- 社会福祉の制度と実施体系
- (1)社会福祉の制度と法体系
- (2)社会福祉行財政と実施機関
- (3)社会福祉施設等
- (4)社会福祉の専門職・実施者
- (5)社会保障及び関連制度の概要
- 社会福祉における相談援助
- (1)相談援助の意義と原則
- (2)相談援助の方法と技術
- 社会福祉における利用者の保護にかかわる仕組み
- (1)情報提供と第三者評価
- (2)利用者の権利擁護と苦情解決
- 社会福祉の動向と課題
- (1)少子高齢化社会への対応
- (2)在宅福祉・地域福祉の推進
- (3)保育・教育・療育・保健・医療等との連携とネットワーク
- (4)諸外国の動向
- 現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
出題上の留意事項
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- 社会福祉の法律や手続き、歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 社会福祉に係る相談援助の内容等について理解しているかという点についても出題し、その場合には相談援助の意義と原則について具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 保育原理、子ども家庭福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
保育の心理学の出題範囲
出題の基本方針
保育実践にかかわる心理学の知識や発達の基本原理について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。問題選択に当たっては、子どもの発達過程における心理や発達の特徴を理解しているかという点のほか、生活と遊びを通して学ぶ子どもの経験や学習の過程について、また、保育における発達援助や子どもの発達を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 保育と心理学
- (1)子どもの発達を理解することの意義
- (2)保育実践の評価と心理学
- (3)発達観、子ども観と保育観
- 子どもの発達理解
- (1)子どもの発達と環境
- (2)感情の発達と自我
- (3)身体的機能と運動機能の発達
- (4)知覚と認知の発達
- (5)言葉の発達と社会性
- 人との相互的かかわりと子どもの発達
- (1)基本的信頼感の獲得
- (2)他者とのかかわり
- (3)社会的相互作用
- 生涯発達と初期経験の重要性
- (1)生涯発達と発達援助
- (2)胎児期及び新生児期の発達
- (3)乳幼児期の発達
- (4)学童期から青年期の発達
- (5)成人期、老年期の発達
- 子どもの発達と保育実践
- (1)子ども理解における発達の把握
- (2)個人差や発達過程に応じた保育
- (3)身体感覚を伴う多様な経験と環境との相互作用
- (4)環境としての保育者と子どもの発達
- (5)子ども相互のかかわりと関係作り
- (6)自己主張と自己統制
- (7)子ども集団と保育の環境
- 生活や遊びを通した学びの過程
- (1)子どもの生活と学び
- (2)子どもの遊びと学び
- (3)生涯にわたる生きる力の基礎を培う
- 保育における発達援助
- (1)基本的生活習慣の獲得と発達援助
- (2)自己の主体性の形成と発達援助
- (3)発達課題に応じたかかわりと援助
- (4)発達の連続性と就学への支援
- (5)発達援助における協働
- (6)現代社会における子どもの発達と保育の課題
- 保育と心理学
出題上の留意事項
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- 児童の発達過程及び発達の特性について正しく理解し、保育(養護と教育)との関連において把握することを主眼として出題する。
- 児童の発達課題や初期経験の重要性等、保育の実際において役立つような知識についても問わなければならない。
- 保育原理、児童家庭福祉、子どもの保健の出題と十分関連をとって出題する。
子どもの保健の出題範囲
出題の基本方針
児童の心身の健康と安全に係る基本的知識と保育実践に係る児童の疾病とその予防及び事故防止と安全管理等についての理解を問うことを基本とする。問題選択に当たっては、児童の健康増進を図る保健活動の意義や保育における環境及び衛生管理並びに安全管理について理解しているかという点のほか、児童の身体面のみならず心の健康についての理解や母子保健対策、他職種との連携等に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 子どもの健康と保健の意義
- (1)生命の保持と情緒の安定に係る保健活動の意義と目的
- (2)健康の概念と健康指標
- (3)地域おける保健活動と児童虐待防止
- 子どもの発育・発達と保健
- (1)生物としてのヒトの成り立ち
- (2)身体発育と保健
- (3)生理機能の発達と保健
- (4)生理機能の発達と保健
- (5)生理機能の発達と保健
- 子どもの疾病と保育
- (1)子どもの健康状態の把握と主な疾病の特徴
- (2)子どもの疾病の予防と適切な対応
- 子どもの精神保健
- (1)子どもの生活環境と精神保健
- (2)子どもの心の健康とその課題
- 環境及び衛生管理並びに安全管理
- (1)保育環境整備と保健
- (2)保育現場における衛生管理
- (3)保育現場における事故防止及び安全対策並びに危機管理
- 健康及び安全の実施体制
- (1)職員間の連携と組織的取組
- (2)母子保健対策と保育
- (3)家庭・専門機関・地域との連携
- 保健活動の計画及び評価
- (1)保健計画の作成と活用
- (2)保健活動の記録と自己評価
- (3)子どもの保健に係る個別対応と子ども集団全体の健康と安全・衛生管理
- 子どもの健康と保健の意義
出題上の留意事項
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- 児童の疾病や事故等の予防や適切な対応について、保育の実際において起こりうる事項に関して出題することが望ましい。
- 一人一人の児童の保健とともに、集団の場における保健的対応や対策についても問わなければならない。
- 保育の心理学、子どもの食と栄養の出題と十分関連をとって出題する。
子どもの食と栄養の出題範囲
出題の基本方針
児童の食生活や栄養に関する基本的知識と保育実践に係る食育の基本と内容についての理解を問うことを基本とする。問題選択に当たっては、児童の健康な生活の基本としての食生活の意義や栄養の基本的概念や調理の基本、年齢や発達過程における食生活について理解しているかという点のほか、食に係る特別な配慮を有する児童への対応や食を通した保護者への支援、現代社会における食生活の課題に関しても配慮が必要である。
出題範囲
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- 子どもの健康と食生活の意義
- (1)子どもの心身の健康と食生活
- (2)子どもの食生活の現状と課題
- 栄養に関する基本的知識
- (1)栄養の基本的概念と栄養素の種類と機能
- (2)食事摂取基準と献立作成・調理の基本
- 子どもの発育・発達と食生活
- (1)乳児期の授乳・離乳の意義と食生活
- (2)幼児期の心身の発達と食生活
- (3)学童期の心身の発達と食生活
- (4)生涯発達と食生活
- 食育の基本と内容
- (1)食育における養護と教育の一体性
- (2)食育の内容と計画及び評価
- (3)食育のための環境
- (4)地域の関係機関や職員間の連携
- (5)食生活指導及び食を通した保護者への支援
- 家庭や児童福祉施設における食事と栄養
- (1)家庭における食事と栄養
- (2)児童福祉施設における食事と栄養
- 特別な配慮を要する子どもの食と栄養
- (1)疾病及び体調不良の子どもへの対応
- (2)食物アレルギーのある子どもへの対応
- (3)障害のある子どもへの対応
- 子どもの健康と食生活の意義
出題上の留意事項
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- 児童の食と栄養に関する適切な対応について、保育の実際において必要な事項に関して出題することが望ましい。
- 児童の保健の出題と十分関連をとって出題する。
保育実習(保育実習理論及び保育実習実技)の出題範囲
出題の基本方針
保育に関する教科全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育及び保護者への支援について総合的に理解し、実践する応用力を問うことを基本とする。保育実習理論については、保育所、児童福祉施設の役割や機能について、また、保育士の職業倫理について具体的に理解しているかという点のほか、保育実践に係る計画(保育課程・指導計画)と実践(保育内容)及びその評価や児童福祉施設における児童の生活と援助活動に関しても配慮が必要である。
出題範囲(保育実習理論)
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- 保育所保育
- (1)保育所の役割と機能
- (2)保育課程と指導計画
- (3)保育の内容
①養護にかかわる保育の内容 ②教育にかかわる保育の内容 - (4)記録と自己評価
- (5)保育士の役割と職業倫理
- 児童福祉施設(保育所以外)
- (1)施設の役割と機能
- (2)児童の生活の実際
- (3)支援計画の作成と実践
- (4)記録と自己評価
- (5)保育士の役割と職業倫理
- 保育所保育
出題範囲(保育実習実技)
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- 音楽表現に関する技術
- 課題に対する器楽・声楽等
- 造形表現に関する技術
- 課題に対する絵画・制作等
- 言語表現に関する技術
- 課題に対する言葉に関する遊びや表現等
- 音楽表現に関する技術
出題上の留意事項
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- 保育に関する知識、技術や受験者の思考力や創意工夫が総合的に把握されやすい内容を選択する。
- 児童の保育の実際において、必要度及び活用度の高い内容を重視する。
- 児童の遊びを豊かに展開するための技術とその応用力についても考慮する。
- 保育実習実技の受験者が多い場合、多人数が同一条件のもとに受験できるよう配慮する。